Entries

インターン2週目を終えての感想

 インターンも二週目が終わりました。この週末は、仲良くなったインターンの友人などと、旧ドナウ川(Alte Donau)に泳ぎにいったり、芝生に寝そべったり、市庁舎の前で開かれたフェア(外でビールを飲んだり、軽食を食べるようなイベント)に行ったり、のんびりと過ごしました。(まさかウィーンに来て泳ぐと思っていなかったので、水着をわざわざ買いました。)東京に比べると刺激は少ないのですが、自然の中でのんびりと過ごすのが好きな人にとっては、ウィーンはかなり住み心地が良いと感じています。

 仕事については、国際機関の中に入ってみて初めて分かることも色々あり、非常に貴重な経験をさせてもらっています。国際機関で働くことについて、「多様なバックグラウンドのプロフェッショナルが意見をぶつけ合って国際的に影響力のある仕事をしている」といったポジティブなイメージばかり先行していましたが、ネガティブな面も含め色々と感じることがあったので、忘れないうちに書いておきたいと思います。(まだ二週間なので、3ヶ月のインターンを通じて、また感想は変わると思います。)

1 ワークライフバランス
 勤務時間については、夏の間は、9時半から3時半までのコアタイムに働くこと、一日8時間半(昼食の一時間を含む)働くことの二つを満たせば、いつ来ていつ帰ってもいいという柔軟な仕組みです。例えば、朝8時半に行けば夕方5時に帰ることができ、朝7時半に行けば夕方4時に帰ることができます。夕方5時半くらいになると、多くの職員は帰りだして、周りが静かになり出します。勤務中に、ビルディング内に数カ所あるカフェで他の職員と歓談することもできますし、勤務後に、UN Barと呼ばれるバーでお酒を楽しむこともできます。正直、僕が所属していた日本の職場と比べても圧倒的にワークライフバランスが良いですし、ケネディスクールの一年目に毎日睡眠時間を削りながら大量のリーディングに苦しめられたのと比べても、かなり精神的に楽な生活を送っています。むしろ夜までだらだらと残っていると、仕事ができない人と見なされる傾向にあるそうです。男性も女性も、家族のために早く帰宅したり、途中に仕事を抜けたりするのは当然という雰囲気になっていて、家族がいる人にとっては極めて働きやすい組織だと思います。 

 勤務環境は極めて良いのですが、他方、もっと加盟国(Member States)のために成果にこだわり、必死になって働いてもいいのではないかと思うこともあります。IAEAのような国際機関は、基本的に各国政府の拠出金から職員の給料が払われています。本来は、拠出をしている各国政府がきちんと仕事をしているか監視する仕組みがあるべきなのでしょうが、あまりそうした監視システムが働いているように見えません。実際、日本政府は多くの国際機関に対してかなりの資金を拠出しています。IAEAについても、アメリカに次いで世界第二位の拠出国です。大口の拠出国の日本としては、職員のワークライフバランスを追求しつつも、拠出先の国際機関の活動についてきちんと成果を求めていく姿勢も必要だと感じました。

2 チームプレー
 国際原子力機関(IAEA)で働く職員は、原子力という特殊な分野の業務のためか、事務的な仕事(会計や人事、秘書など)をする人を除いて、主に理系の分野で基本的に修士号か博士号を持っています。僕もIAEAで何とかインターンをすることができたのは、日本で工学の修士号を持っていたからだと思います。僕のいるチームは、放射性廃棄物(Radioactive Waste)を最終処分(Final Disposal)する前の「前処理(Predisposal)」の安全性に関する指針や技術的文書の作成、専門家の派遣、ワークショップの開催などをしているチームです。イギリスの大学で教授をしているような人がチームのメンバーにいるので、専門性が極めて高いです。あまりチーム一丸となって一つのプロジェクトに取組むという雰囲気はなく、個人プレーの専門家がそれぞれ独立して仕事をしているという印象です。皆話せば人当たりの良い方たちなのですが、積極的に周囲の職員と連携して、加盟国のために何か意味あるプロジェクトを創出していこうという雰囲気はあまりありません

 インターンを始める前のメールのやり取りで不思議に思っていたことも、実際に来てみて、オフィスのレイアウトを見て納得しました。例えば、人事関連を扱う事務の職員の方に、僕のインターンの開始日について知らせて、その人に知らせれば、その人を窓口として関係者全員に当然共有されているものと思っていたのですが、その人限りで情報が止まっているというようなことが多々ありました。実際に来てみると、それぞれの職員に基本的に一つの部屋が与えられていて、その部屋を訪問しない限り会話ができないような作りになっていました。日本の職場では、デスクが密集して、否が応でも他の職員の電話の会話とか、他の職員同士の会話が聞こえてくるようなレイアウトでした。もちろん、各人に一つの部屋が与えられることで集中して作業に取組めるという利点はあると思うのですが、チーム内の情報共有を進める観点や、共同のプロジェクトを進める観点からは、個別の部屋で区切られているデザインはあまり良くないのではないかと思うこともあります。

3 仕事
 仕事自体はのんびりとしてプレッシャーもあまりないのですが、8月下旬までの3ヶ月間で、チームの業務に関するIAEA文書を大幅に改訂することが僕に課された仕事です。正直、原子力工学の知識がない自分が、どのようにこの文書の改訂に貢献できるか、日々頭を悩ませています。僕のチームは博士号を持っている人ばかりなので、原子力の廃棄物処理の知識では到底かないません。逆に、それぞれの業務がタコ壷化していて、全体を見られている人が少ないように感じているので、そこに自分の価値を発揮する余地が残っていると感じています。IAEAの数多の技術的文書や、OECD/NEA(原子力機関)の文書、各国の公表資料などを整理・マッピングして、どういう分野の文書が抜けているか、どういう情報を加盟国が必要としているのかを、外部の非専門家の観点から指摘することはできると思っています。僕は、悪く言えばどの学問も中途半端にしか修めていないのですが、学部で都市工学、大学院で技術経営、経済学、ケネディスクールで国際関係や政治学を学んできました。IAEAのように原子力のスペシャリストが集まる組織で、僕のように様々な学問を広く見てきた人がどう貢献するかを試す絶好の機会だと思って、何とか成果を出したいと考えています。

参考:国際エネルギー機関(IEA)の局長を務める方のインタビュー
(ジェネラリストがどう国際機関で貢献するかに関するヒントが詰まった良いインタビューだと感じました。)

Related Entries
Use trackback on this entry.
http://wearewhatwechoose.blog.fc2.com/tb.php/109-25b20ac9

Trackbacks

Comments

Post a comment

Post a comment
Only the blog author may view the comment.

Appendix

プロフィール

tak

Author:tak
2014年8月より、ハーバード大学ケネディスクール(Harvard Kennedy School, HKS)に2年間留学しています。

HKSでは、エネルギー・環境政策や経済政策、交渉術、リーダーシップなどを学ぶ予定です。このブログでは、HKSでは何をどう教えているか、世界の政治経済分野のリーダーの考え方・習慣、英語学習の秘訣、その他日々の学び・感動を書き記したいと思います。

なお、このブログに書かれたことはすべて個人的見解によるものです。

最新トラックバック

ページビュー数

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR