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1月期の授業(Persuasion)について

 ケネディスクールでは、1月上旬から下旬までの2週間、1月期(January Term)と呼ばれる集中講義を受けることが可能です。家族などで旅行に行ったりする学生を除いて、多くの学生は、この1月期にどの授業を取るか頭を悩ませることになります。とういのも、1月期には、いわゆるケネディスクールらしい目玉の授業が目白押しだからです。代表的な例でいうと、ロナルド・ハイフェッツ教授のリーダーシップの授業(自分の内面を見つめ、自分のリーダーシップの源泉を追求する)、ブライアン・マンデル教授の交渉術の授業(1対1の交渉だけでなく、多人数間での効果的な交渉のあり方を学ぶ)などです。僕は昨年度は、Arts of Communications(過去の記事)というスピーチ術に関する授業を取り、かなり満足度が高かったです。少人数で互いにフィードバックを与え合い、自分のスピーチの強みや弱みに気づくことができたからです。二週間密度の高い時間を共有するので、この時同じ授業を取っていたクラスメイトとも、仲良くなりました。

 前置きが長くなりましたが、来年の1月に、Persuasion(説得術)という授業を取ることに決めました。今年は昨年よりも授業の受講希望者数が増え、一人1000点与えられているBidding Pointを、300点ほど使う必要がありました。教授は、ゲリー・オレン(Gary Orren)というハーバードで政治・リーダーシップを45年以上教えている先生です。オバマ大統領も、ハーバード・ロースクールの学生時代に彼の授業を取ったとのことです。教授は、Persuade(説得する)という行為を、初めは自分の考えに懐疑的だったり賛成していなかった人たちを、自発的に自分の示した方向についてきてもらうようにすることと捉えています。そして、Persuasionこそが、リーダーシップを発揮する上での鍵となる能力だという考えです。

 春学期に、Exercising Leadership(過去の記事)というケネディスクール名物の授業を取ったのですが、この授業の焦点は、グループダイナミクスをどう分析するか、どのような介入をすればグループの構成員に真の課題に気づいてもらえるか、といったことでした。この授業では多くの学びがあったのですが、と同時に、グループダイナミクスを的確に分析することが可能になったとしても、最後は、誰が言ったかや、どのように伝えるかが、人を動かす上では極めて大事なのではないかという疑問が残っていました。例えば、授業のグループワークなどでも、「あいつが言うのだから、間違いないだろう」と思わせるような、影響力の強いメンバーがいます。他方、僕自身この点はかなり苦戦しているのですが、何か意見を言ったとしても、あまり賛同を得られず、他の影響力の強い意見に飲み込まれてしまうというケースも多くあります。また、別の例でいえば、誰かからお願いや指示をされた際に、「そうか、じゃあ、手伝ってみよう」と自ら進んで手伝いたいと思えることもあれば、ちょっとした言い方の工夫や、配慮が足りなかったりするために、「なんか手伝いたくないな」とへそを曲げてしまうこともあります。こうした「あの人の言うことは間違いない、協力しよう」、逆に「この人の言うことにはなんか協力する気が起きないな」という違いがどこに起因しているのか、勉強してみたいと思ったのがこの授業を取ろうと思ったきっかけです。また、僕自身、仕事でうまく人の協力を得られず悩んだ経験が過去にもあり、こうした能力が不足していると思うことが多かったので、何とか改善したいと思ったのも取った理由の一つです。

 授業では、約20の説得の原則を教わった後、それを120人近い大教室での発言で試したり、8人程度の小グループで様々なエクササイズを通じて実践していきます。これを2週間、朝9時から夕方6時までみっちり行うとのことです。この授業を取っただけで人を説得する力が劇的に向上するとは思っていませんが、今後の人生を歩んでいくうえで、自分のコミュニケーションのあり方のどこを改善していく必要があるのか、逆にどこは自分の強みであって引き続き自信を持っていい点なのかというヒントを得られればいいと思っています。


ゲリー・オレン教授がPersuasionの授業について説明しているビデオです。
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Author:tak
2014年8月より、ハーバード大学ケネディスクール(Harvard Kennedy School, HKS)に2年間留学しています。

HKSでは、エネルギー・環境政策や経済政策、交渉術、リーダーシップなどを学ぶ予定です。このブログでは、HKSでは何をどう教えているか、世界の政治経済分野のリーダーの考え方・習慣、英語学習の秘訣、その他日々の学び・感動を書き記したいと思います。

なお、このブログに書かれたことはすべて個人的見解によるものです。

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