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最終学期の進捗状況

 しばらく更新が途絶えてしまっていましたが、最後の学期を充実して過ごしています。また、年始の記事で目標の一つにも掲げた、音楽や文化を体験するという点についても、NBAの試合(セルティックス対キングス)を見に行ったり、アメリカの大学生のアカペラの大会(アメリカ版ハモネプのようなもの)を見に行ったり、メイン州のポートランドに小旅行に行ったりしました。

 今学期の中では、「成人の発達(Adult Development)」が、新しい世界の見方を提供してくれるという点で、最も学びの多そうな授業だと感じています。人間は年を取り、就職する、結婚する、子どもができるなどのライフステージが変化していくごとに、精神的に成長を遂げていくというDevelopmentalismと、経験を積むことによって、より客観的に、一歩引いて世の中の事象や人間について見ることができるようになるというConstructivismという二つの成人の発達理論を学びました。講師のロバート・キーガン教授は、これら二つの成人の発達理論を融合させ、Constructive-Developmentalismという新しい理論を提唱しています。これまでの授業では、このConstructive-Developmentalismについて、キーガンの著書を読んだり、課題図書を与えられて、理論に基づいて分析を加えるというエクササイズをしました。

 元々この授業を取った目的は、ケネディスクールを今年5月に卒業してから後も、継続的に成長をしていくためには何が必要か、また、今後部下ができたり、パートナー・家族を持ったときに、どのように周囲の人たちにポジティブな影響を与え続けることができるか、成長を促していくことができるかを学びたいという問題意識がありました。今のところ、キーガンの成人の発達理論を理解するのに精いっぱいで、自分の人生にどう適用するかまでは考えられていません。授業を受けていく中で、自分の人生に適用するためのヒントを得たいと考えています。

 Joseph Aldyのエネルギー政策分析(Energy Policy Analysis)の授業も知的好奇心を刺激され、面白いです。これまでの授業では、そもそも政府がエネルギー政策になぜ関与する必要があるのかを、経済学関係の論文を読みながら、考察していきました。Aldy教授の考えでは、①温室効果ガスの過剰な排出や、エネルギー関係の革新的な技術が市場に十分に供給されないなど、市場の失敗を是正するため、②裕福な人ばかりが便益を受けるなど、格差の問題を是正するため、③人々のバイアスを直し、社会的に効用の高い方向に人々を誘導する(Nudge)するため、政府の介入は必要だということを主張していました。COP21で野心的な気候変動の枠組みが合意された中で、今後各国が温室効果ガス削減に貢献していく必要があるところ、政府が市場に介入し、気候変動問題に貢献しつつ、自国の安定的なエネルギー・電力供給を実現していくという役割は、今後もなくなることはないのではないかと思いました。

 今後の授業では、日本の政策立案プロセスでは必ずしも十分に活用されているとは言いがたい、費用便益分析(Cost-Benefit Analysis) について掘り下げて学んでいく予定です。

 Christine Russell教授のメディアと気候変動・エネルギーの授業も、今学期のお気に入りの授業の一つです。教授はワシントンポストなどの主要メディアでジャーナリストとして30年以上働いた経験を持つ、カリフォルニア州出身の人柄の良い女性です。学生数も10人ちょっとのこじんまりとした授業ですが、気候変動・エネルギー問題に関心を持った学生が集まっていて、意見交換ができるのは非常に楽しいです。これまでの授業での学びは、①気候変動問題はCOP21の前に、教皇フランシス(Pope Francis)やレオナルド・ディカプリオ、オバマ大統領などのメディアへの露出をきっかけに、多くの人が関心を持つ問題になった、②特に教皇フランシスは、気候変動問題を政治的問題ではなく、倫理的・世代間公平性の問題であると定義し、多くの人たちの支持を得た、③気候変動のサイエンスを否定する人が多いが、気候変動により極端な天候(豪雨、ハリケーン、灌漑、海面上昇)の頻度や強度が大きくなっていることはほぼ間違いない、ということです。

 最後に、Jeffrey Frankel教授の国際金融政策の授業も、これまで体系的に学んでこなかった為替政策・財政政策・金融政策について学ぶことができていて、満足度が非常に高いです。これまで感覚的に分かっていたことを、鮮やかに経済理論で解説をしてくれますし、現実の世界で起きている事例とリンクさせて説明してくれるので、理解度が一気に深まっています。例えば、チリはラテンアメリカの国々の中でなぜ唯一金融危機の影響を大きく受けなくて済んだのかを、チリが効果的な景気安定化政策(Counter Cyclical Policy)を取ったからだという説明がありました。他にも、ポーランドが金融危機の影響を大きく受けずに済み、財政政策を国の経済成長に効果的に結びつけることができた理由として、ポーランドは他の東ヨーロッパの国々と比べ、他国への輸入依存度、すなわち限界輸入性向(Marginal Propensity to Import)が小さいため、財政政策の効果が大きいことを挙げていました。
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Author:tak
2014年8月より、ハーバード大学ケネディスクール(Harvard Kennedy School, HKS)に2年間留学しています。

HKSでは、エネルギー・環境政策や経済政策、交渉術、リーダーシップなどを学ぶ予定です。このブログでは、HKSでは何をどう教えているか、世界の政治経済分野のリーダーの考え方・習慣、英語学習の秘訣、その他日々の学び・感動を書き記したいと思います。

なお、このブログに書かれたことはすべて個人的見解によるものです。

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