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2年を経て、留学前の自分に伝えたいこと

 2年間の留学生活を振返り、授業、ジャパントレックやボーゲル塾等の課外活動、コースアシスタントを務めたこと、ボストン在住の日本人との交流等、概ね自分の満足のいく留学生活を送ることができました。他方で、もっとこうしておけばよかったなと後悔する点がいくつかあります。これから海外の大学院に留学する人や、現在留学中の人に向けて、僕の後悔が役に立つかもしれないので、以下に書いておきたいと思います。海外の大学院に留学する人にはそれぞれ優先事項があると思いますし、初めて留学する人にとっては、日々の授業を乗り切ることで精一杯だと思いますが、あくまで留学を終える一人の日本人の個人的な意見として、参考にしてもらえればと思います。

1.日本人としての存在感を高めるための努力
 元々の僕が留学しようと思ったのは、留学前に携わった国際交渉の業務の経験から、国際会議等の舞台における日本の存在感が小さくなっている状況を改善したい、一個人としても競争力を高めて、存在感を発揮していきたいという想いがきっかけでした。この初心を大事にして、ケネディスクールという100カ国から1,000人が集まる空間を、日本人としての存在感を発揮する場としてもっと意識的に活用すべきだったと感じています。入学時には、1,000人の学生が、互いに誰も知らない状態からよーいどんでスタートします。ところが、入学して二年が経ち、卒業が近づいてくると、学業・課外活動等の様々な活動に積極的に参加し多くの学生に知られる存在感のある学生と、「そんな人いたっけ?」という存在感の薄い学生とに、明確に分かれてきます。僕自身は、エネルギーの地政学の授業のコースアシスタントを務めたことや、二年連続でジャパントレックに関与した経験から、ある程度の存在感は出せたかもしれないと思いつつ、決して存在感が最も高い学生グループの一人ではありませんでした。

 残念ながら、ケネディスクールでの日本人の存在感は低いと言わざるを得ないと思います。人数は今年度10人でそもそも少ないですし、多くの日本人(特に日本育ちの日本人)は、授業中の発言は少なく、社交の場にも積極的に参加しないからです。別にそれでいいじゃないかという意見もあると思いますが、僕自身は、日本人としてこうした状況は悔しいです。また、その人が合格したのは、ある程度定められた「日本人枠」の中で選ばれたはずで、その人が合格しなければ、合格していた他の日本人がいたはずです。そうした合格しなかった人の分まで、日本人として積極的に学校に貢献していく姿勢が求められるのではないかと思います。

 勉強に集中するのはもちろん重要なことですが、どの職業に就こうと、周囲の人に、「この分野ならあいつに聞いてみよう。」と想起されないと、その勉強の成果も無駄になってしまうと思います。また、日頃から存在感を発揮していないと、国際社会の中で自分の意見を通すことも難しくなってしまうと思います。これから留学する人は、留学先の大学院を擬似的な国際社会だと仮定して、日本人としての存在感を発揮する努力をしてほしいと思います。

2.社交活動への積極的な参加

 上記1.に関連することですが、社交活動にもっと積極的に参加すればよかったと思います。僕も初めのうちは頑張ってパーティやクラスイベントに可能な限り参加するようにしていました。しかし、学業が忙しくなり、また、パーティに参加してもアメリカ人のネイティブの中に交じって高速の英会話についていけない状況が続くと、段々と足が遠のいてしまいました。社交活動に積極的に参加しているアメリカ人学生や、社交慣れしているヨーロッパ出身の学生は、互いに結束を強め、しだいに仲良しグループを形成するようになります。二年目の後半になってからそうした人間関係の輪に入ろうと思っても、既に彼らが仲良くなりすぎていて、中々輪に入りづらいのが実情です。すると、こうした仲良しグループが企画するイベントに参加しづらくなり、ますます足が遠のくという悪循環が起きてしまいます。

 僕自身は、途中から、一部の仲良くなりたい学生に絞って、アパートの共用ルームに招いてパーティを開いたりする等、「狭く深い」社交をするように切り替えました。僕にとって、こうした学生は、同じく英語が第二言語で苦労しているラテンアメリカからの学生等が多かったです。こうした「狭く深い」社交を通じて、信頼できる友人を作ることができましたが、他方で、卒業が近づき、MPA2のクラス等の集まりが増える中で、これまで一度も話したことのない学生がいたり、久しぶりすぎて何を話していいか分からない学生がいるのは、何だか寂しいなと感じました。

 社交慣れしているヨーロッパからの学生等を見ると、自分と異なるバックグラウンドの人と楽しく会話をする、初対面の相手とも共通の話題を見つけて会話する等、社交も一つのスキルだと強く感じるようになりました。これから留学する人は、社交活動も、実世界でネットワークを築く訓練だと思って、積極的に参加してほしいと思います。短い時間でも構わないので、パーティやイベントに顔を出してみることを続けるだけでも、社交の訓練になりますし、周囲の学生からの認知度も変わってくると思います。

3.困難な授業へのチャレンジ

 前回の記事でも書きましたが、ケネディスクールは単位を取って卒業をするだけなら、決して難しい学校ではありません。ただ、一年目は特に、初めての海外の大学院での勉強ということで、守りに入ってしまい、自分がある程度知っている分野の、簡単に単位が取れそうな授業を取ってしまったことも事実です(例えば、アメリカの官民関係やエネルギー政策などの授業)。しかし、二年間を振返って、最も学びが多かった授業は、自分がこれまで知らない分野に果敢に挑戦した授業です(例えば、Great Power CompetitionやNegotiatin US Interests in the Evolving Asia等の国際関係論の授業や、Public Narrative等のコミュニケーション系の授業)。本当は勉強したかったものの、ついていけるか不安がある授業に、もっと積極的に挑戦すればよかったなと後悔しています(例えば、宗教の授業やアメリカ政治の授業)。また、他学部の授業のクロスレジスター制度ももっと活用すればよかったと思っています。結局僕は二年間通じて、ハーバード教育大学院のAdult Developmentしかクロスレジスターしませんでした。ビジネススクールやロースクールにも関心の多い授業は多かったのですが、そもそも授業についていけるのか、完全にアウェイの授業でうまくやり切れるかという不安がありました。

 これから留学する人は、初めは授業についていけるかという不安もあると思うのですが、単位を取るだけなら案外何とかなるので、守りに入らず、自分が本当に取りたい授業や、全く未知の分野の授業に積極的に挑戦してほしいと思います。

4.英語力を高めるための努力
 留学する前までは、留学して授業に出ていれば、英語力は自然と劇的に伸びるのではないかと思っていました。僕自身、毎日のリーディングの課題を読んだり、コミュニケーション系の授業でプレゼンをしたり、授業中に発言しようと努力する中で、英語力(読解・スピーキング)の伸びをある程度感じることができました。他方で、英語の語彙力や表現力、リスニング力は、日本で留学に向けてTOEFL対策を集中的にしていた時の方が伸びていたのではないかと感じています。留学の二年目に入った時に、語彙力や表現力が思ったよりも伸びていないと気付いてからは、意識してAnkiというアプリケーションを使って、日々のリーディングや教授の説明で知らない語彙が出てきたら、それをAnkiに記入して覚えるという習慣をつけるようにしました。すると、徐々に語彙力・表現力が高まってきたと感じています。また、自分のリスニング力が大きく伸びていないと感じて以来、時間を見つけては、PBS等のニュースを活用して、シャドーウィング(スクリプトのある英文を、音声に合わせて読み上げる)をするようにしました。このような、授業以外にも英語を訓練する時間を意識的に設けるようになってから、少しずつ語彙力や表現力、リスニング力の伸びを感じるようになりました

 これから留学する人で、留学期間中に英語力をしっかりと伸ばしたいという方は、授業を受けること以外に、語彙力・表現力やリスニング力を高めるような時間を別途設けるようにしてほしいと思います。
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Author:tak
2014年8月より、ハーバード大学ケネディスクール(Harvard Kennedy School, HKS)に2年間留学しています。

HKSでは、エネルギー・環境政策や経済政策、交渉術、リーダーシップなどを学ぶ予定です。このブログでは、HKSでは何をどう教えているか、世界の政治経済分野のリーダーの考え方・習慣、英語学習の秘訣、その他日々の学び・感動を書き記したいと思います。

なお、このブログに書かれたことはすべて個人的見解によるものです。

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