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新渡戸国際塾③(明石康先生との議論)

 新渡戸国際塾の8月26日のセッションは、元国連事務次長で、新渡戸国際塾の塾長でもある明石康先生との議論でした。アメリカ・ボストンのタフツ大学フレッチャースクールで博士号を取得中に、国連で勤務を開始し、それから国連又は外務省の国連日本政府代表部で40年間働き続けた方です。まさに国連一筋の人生を歩まれた方だと思います。

 3時間のセッションは、明石先生の講義の後、塾生とのフリーディスカッションという形式で行いました。話はトランプ政権から日本人の英語教育、PKO(平和維持活動)まで幅広く及びましたが、その中でも、私自身が明石先生から受けたインスピレーション・意外な発見を、以下に記しておきたいと思います。

 一番印象に残っているのは、明石先生が国連で働く中で、ご自身のことを日本人であるという意識を持たれていなかった点です。塾生から明石先生に対し、国連職員として働く中で日本人としての自分を意識したことがあるかという問いを投げかけた際、明石先生は明確に「自分を日本人だと意識したことがない。日の丸を背負っているわけではない。」とおっしゃいました。私は二年間の留学生活の中でも、常に日本人としてどう授業に貢献するか、ケネディスクールというコミュニティに貢献するかを意識し続けてきました。また、日々の仕事の中でも、(職業柄そう考えざるを得ない面もあるのですが、)日本にどう裨益するか、日本経済・社会を豊かにするにはどうすればいいのかという視点を持ち続けてきました。日本企業に勤める多くの人たちも、日本を向きながら仕事をしている方も多いのではないかと思います。しかし、明石先生のように国連のように真にグローバルな組織でトップレベルまで上り詰める方は、日本という枠にとどまらず世界・地球のために働くという意識をナチュラルに(自然体で)持っている、また、あらゆる国籍・人種の人たちに対し、フラットな目線で偏見を持たずに接しているのだと感じました。「人間一人一人の価値は民族・人種・宗教を超えて平等である」という強い信念を持たれていることが、お話の中から伝わってきました。

 二点目に、一点目とも関連するのですが、国連のように国籍・人種・宗教等の観点から多様な組織で働くうえで、明石先生が大学時代に文化人類学を学んだことが基盤となっているとおっしゃったことが印象に残っています。様々な国の文化は互いに優劣がなく、それぞれの文化として洗練され完結していること、また、そうした様々な文化の比較によって日本や日本人とはどのような国・民族であるかを、文化人類学を通して学ばれたとのこと。さらに、明石先生は国連時代、カンボジアのPKOやユーゴスラビアの紛争収拾に携わり、現在は東アジアの平和に関する活動にも携わっていますが、各国の歴史に関する知識を豊富に持たれていることも、お話の中から伝わってきました。こうした相手の文化や歴史を謙虚に知る姿勢が、明石先生が平和構築の分野で常に第一線でご活躍されてきた基礎となっているように思いました。私自身も、今後外交交渉のような場に立つことがある場合や、仮に国連のような国際機関で働くことになった場合に、異国・異文化の交渉相手や同僚と信頼関係を築いていく上で、こうした文化人類学的な素養が必要になるのではないかと感じました。こうした人文的な教養が私には不足しているので、今後意識して学んでいきたいと考えています。

 三点目は、英語を話すうえで、何よりサブスタンス(内容)が大事であるという話が印象に残りました。日本人は英語の発音に自信がなく、国際会議のような舞台で委縮しがちであるものの、それは全く気にすることはなく、堂々と自分の意見を発信していくことが最も重要だと、国連事務次長にまでなられた明石先生から言われたことは大きな励みになりました。重光外務大臣の国連加盟演説も、たどたどしい英語であったものの、戦後日本の覚悟が表れた素晴らしいスピーチであったと評されているとのこと。また、マネックス証券社長の松本大氏も、カタカナ英語でも構わないので堂々と英語を話すことの重要性を謳っているとのことです。さらに、他国の人たちとの英語の議論の中でのTipsとして、(発音は悪くてもいいので)難しい単語・語彙を使って言い返すことで、相手に「おっ」と思わせることができるという話もありました。私自身も発音が合っているかどうか不安で発言を控えてしまうような場面があるのですが、むしろ発言の中身や、それを伝えたいと思う意思・覚悟を持って話すことが重要であると、勇気づけられました。
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Author:tak
2014年8月より、ハーバード大学ケネディスクール(Harvard Kennedy School, HKS)に2年間留学しています。

HKSでは、エネルギー・環境政策や経済政策、交渉術、リーダーシップなどを学ぶ予定です。このブログでは、HKSでは何をどう教えているか、世界の政治経済分野のリーダーの考え方・習慣、英語学習の秘訣、その他日々の学び・感動を書き記したいと思います。

なお、このブログに書かれたことはすべて個人的見解によるものです。

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