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授業を一つ追加しました

前々回の記事で紹介した4つの授業の他に、バーバラ・ケラーマン(Barbara Kellerman)教授の「リーダーシップのシステム:リーダー、フォロワー、文脈(MLD-352M: The Leadership System - Leaders, Followers, Context)」という、秋学期の前半のみ行う半期の授業を追加しました。

リーダーシップに関する授業は、ケネディスクールが最も力を入れている分野であり、ケネディスクール内でも年間で合計20以上の授業が開催されています。ケラーマン教授のリーダーシップへのアプローチは、その中でも独特です。まず、ケラーマン教授は、リーダーシップに関するセミナーや書籍に関するビジネスは「リーダーシップ産業(Leadership Industry)」と名付け、アメリカを中心に直近の20~30年の間に大きく成長していることを指摘します。その一方で、実際に優れたリーダーが増えたかについては懐疑的です。ケラーマン教授は、リーダーシップのみに焦点を当てるのは時代遅れであり、リーダー(Leader)の周囲にいるフォロワー(Follower)と、その歴史的・地理的な文脈(Context)も合わせて研究しなくてはならないとの立場に立っています。そのため、公的セクターのリーダーを育成することを学校の目的に掲げ、多くのリーダーシップ養成に関する授業を開催しているケネディスクールの中では、異色です。

毎回の授業では、大量のリーディングが課されます。直近の授業ではは、老子や孔子、マキャベッリ、ロック、ミルなどの過去の思想家の著作を読み解き、リーダーとフォロワーの関係がどう変わってきたのかを議論しました。具体的には、孔子やプラトンの時代は、道徳に重きを置くリーダーや哲人王(Philosopher King)といった概念が示すとおり、権力(Power)や権威(Authority)、影響力(Influence)を持つ少数のリーダーが、いかに国や組織を統治するかに重きが置かれていました。その後、ロックが市民の所有権を主張したことを契機に、ミル、マルクスなどを経て、これまで権力や権威、影響力を持っていなかった一般市民(フォロワー)に徐々に焦点が当てられ、リーダーとフォロワーの力関係が変化してきています。また、近年のインターネット、ソーシャルメディアの普及も、権力を持たない民衆(フォロワー)が社会の変革に関わることを促進していると、ケラーマン教授は主張しています。

個人的にも、自分の就職活動の時から、多くの企業が、「我が社の求める人材はリーダーである」と主張していたのに対し、「全員がリーダーだったら組織が回らないのでは」というナイーブな疑問をずっと持っていました。実際には、人は組織に属する限り、リーダーでありフォロワーでもあるはずで、リーダーに目を向けるだけでなく、フォロワーにも注目すべきだとのケラーマン教授の主張は非常に納得できます。

10月半ばまで授業が続きますが、それまでに英文で12枚程度の小論文を書く必要があります。僕自身は、2011年の震災以降、日本のリーダーとフォロワーのあり方、人々のリーダーへの期待値がどう変わったかについて関心があるので、それについて研究し、論文を書きたいと思っています。

(参考)ケラーマン教授のブログ
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Author:tak
2014年8月より、ハーバード大学ケネディスクール(Harvard Kennedy School, HKS)に2年間留学しています。

HKSでは、エネルギー・環境政策や経済政策、交渉術、リーダーシップなどを学ぶ予定です。このブログでは、HKSでは何をどう教えているか、世界の政治経済分野のリーダーの考え方・習慣、英語学習の秘訣、その他日々の学び・感動を書き記したいと思います。

なお、このブログに書かれたことはすべて個人的見解によるものです。

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