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ロバート・ローレンス教授とのオフィスアワー

貿易政策のロバート・ローレンス教授のオフィスアワーに行きました。主に話した内容は、以下のとおりです。初歩的かつ抽象的な質問をしてしまったために、深い議論にはならず、マクロ経済の基本をかみ砕いて説明していただく形になってしまいました。次回行くときは、もっと準備をして、高度なやり取りができるようにしたいと思います。

Q. 日本の貿易赤字(Trade Deficit)を解消するために、どのような政策を打つべきか。
A. まず、経常収支(Current Account)と貿易収支(Trade Account)は異なる。経常収支は、貿易収支とサービス収支、所得収支を足したものである。貿易収支が赤字になっても、日本は海外への投資をしてきており、トータルで見れば海外から収益を上げている。(経常収支はプラスである。)
 また、経常収支は、民間純貯蓄(S-I)と財政収支(T-G)を足したものでもある。政府が借金(Borrowing)を増やせば、民間セクターが貸出(Lending)を増やすか、国全体が海外から借金をする必要がある(=経常収支はマイナス)。日本は歴史的に、民間セクターの高い純貯蓄(S-I)が、政府の財政赤字をカバーしてきた。しかし、高齢化が進むにつれ、高齢者が貯蓄(S)を取り崩し、民間セクターの純貯蓄が小さくなると、経常収支も小さくなってくる。
 このように、貿易赤字そのものが悪いか良いか、どのように解消すべきかという議論ではなく、その中身をよく分析する必要がある。

Q. 中国の成長は、日本経済にどのような影響を与えているか。利益を与えているのか。
A. 中国が日本の機械等を購入し、日本が中国の安い製品を輸入している限りは、日本の経済にとって悪影響はない。逆に、中国が、日本の輸出製品と直接競合する製品を作るようになると、日本の経済にとって良くない。私の著書(RISING TRADE)では、アメリカの輸出製品と中国の輸出製品は競合しておらず、中国とアメリカの輸出は互いに補完的な関係にあることを示した。日本に関して詳細な分析は行っていないが、日本の輸出と中国の輸出も互いに補完的な関係にあると思われる。

Q. 日本はどのように製造業の競争力を高めることができるか。
A. イノベーションが鍵になるだろう。製造業のイノベーションに関しては、ドイツが参考になるので、調べてみるとよい。
 国の競争力は、国民の生活水準(Living Standard)と関係する。日本について言えば、農業セクターの土地利用を改革し、農業製品の競争力を高めることが、日本の競争力、生活水準を高めるために最も簡単な方法だろう。日本の農業は、大きな成長余力があると思う。

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Author:tak
2014年8月より、ハーバード大学ケネディスクール(Harvard Kennedy School, HKS)に2年間留学しています。

HKSでは、エネルギー・環境政策や経済政策、交渉術、リーダーシップなどを学ぶ予定です。このブログでは、HKSでは何をどう教えているか、世界の政治経済分野のリーダーの考え方・習慣、英語学習の秘訣、その他日々の学び・感動を書き記したいと思います。

なお、このブログに書かれたことはすべて個人的見解によるものです。

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