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リーダーに必要な6つのUP

 Arts of Communicationsの授業で学んだロゴス(論理)、パトス(感情)、イートス(人柄)を総動員したプレゼンの例として、ハーバード・ビジネススクールのロザベス・モス・カンター(Rosabeth Moss Kanter)教授のTED TALKが良い例になると思ったので、以下に共有します。全部で17分強と少し長いですが、アメリカで評価されるプレゼンの方法や、アメリカ人の考えるリーダーシップとは何かを知る上でも、色々とヒントがある動画なので、お時間のある方は是非ご覧ください。



 以下は、プレゼンの概要です。

 リーダーとして成功し、世界に変化をもたらすためには、6つのUPが必要である
1.SHOW UP
 そもそも、あなたがその場にいなければ、何も起こらない。Being Thereという映画でピーター・セラーズ(Peter Cellers)演じる庭師が重要な会議の場にいたことで重要な人物と勘違いされ、偉くなっていたように、また、オバマがイリノイ州の上院議員として民主党全国大会に現れたことがきっかけで大統領への道を歩んだように、その場にいるだけで、大きな変化をもたらす可能性を生むことができる
2.SPEAK UP
 声の力を使いなさい
。ハーバード・ビジネススクールの学生も、何も言うことがないからという理由で発言しない人がいるが、とにかく話せと指導している。声の力は、議題を形作り、他人のために課題をフレーミングすることができる。ブラジルのジャーナリストが子供の教育のためにサンパウロの人たちを動かしたのも、エレン・グッドマン(Ellen Goodman)が人々の人生を終える前の会話を収録して大きなプロジェクトにしたのも、声の力を活用した例である。
3.LOOK UP
 より高次元の原則や、より大きなビジョンやバリューに向かって、視点を高く持ち上げなさい
。ハーバード・ビジネススクールでも、会議の前には必ず自分たちのミッションを思い出させるようにしている。リーダーは、人々の抱える日常的な問題から、扱うのが困難な大きな問題に向けて、人々の視点を高めることができる。
4.TEAM UP
 どんな人も、パートナーと組むことで、パフォーマンスを向上させることができる。Facebookが企業として成功したのも、ヒラリー・クリントンが調理の火で死亡する人を減らすためのクリーン・クックストーブ(Clean Cookstoves)のキャンペーンを成功させたのも、早い段階から優れたパートナーと組んだことが要因である。
5.NEVER GIVE UP
 カンターの法則と私は呼んでいるが、何かを成し遂げるプロセスの中盤は想像以上に長く続き、失敗したかのように思えるものだ。しかし、成功した人は、皆あきらめなかった人たちである。アメリカの保険制度であるメディケアを推進したドナルド・バーウィック(Donald Burwick)は、20年以上も自分のアイディアを追い求め続けた。ネルソン・マンデラは、27年間を牢獄で過ごしたが、あきらめず、復讐の気持ちを持つこともなく、大統領になった。あなたも、しつこく続けることの強さを理解し、心の中のマンデラを見つけなさい
6.LIFT OTHERS UP
 一旦成功したら、あなたの成功を他の人たちに共有しなさい。そうすることで、あなた自身が周囲から支持を得られるし、他の人たちも高揚した気持ちを感じることができる。

 
 リーダーに必要な要素を6つに分解し、論理的な一貫性を持って、分かりやすく聴衆に訴えている点は、ロゴス(論理)を活用していると言えます。ゆっくりとした力強い声で、時には沈黙も活用して聴衆を惹きつけ、また、それぞれの要素をサポートする役割としてオバマやクリントン、マンデラなどの豊富なストーリーを盛り込み、聴衆の感情に訴えかけている点は、パトス(感情)を活用しています。最後に、カンター教授自らが、自然体でプレゼンをしているにも関わらず、リーダーに相応しい芯の強さ、女性らしいしなやかさ、さらに、ハーバード・ビジネススクールの教授という一種の権威を体現していて、これはイートス(人柄)を活用していると言えると思います。ロゴス、パトス、イートスの3つを総動員して聴衆の心を動かすプレゼンの典型的な例だと感じました。

 また、プレゼンの内容自体にも、気づきがありました。特に、リーダーにはSHOW UP(現れること)とSPEAK UP(発言すること)が大事であるという点は、心に刺さりました。ケネディスクールでは、授業の他にも、全部出ていては体が持たないというくらいにセミナーや社交イベントが多くあり、そうした場に参加することが億劫になることが多いのですが、そうした場に現れるというだけでも、大きな変化をもたらす可能性を生むことができることに気づきました。また、授業に出ていても、いまだに「この発言は意味があるのだろうか」と考えてしまい、躊躇して発言できないことが多いのですが、何でもいいからまずは発言をしてみるという姿勢がリーダーには必要だということも、大きな気づきになりました。 
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tak

Author:tak
2014年8月より、ハーバード大学ケネディスクール(Harvard Kennedy School, HKS)に2年間留学しています。

HKSでは、エネルギー・環境政策や経済政策、交渉術、リーダーシップなどを学ぶ予定です。このブログでは、HKSでは何をどう教えているか、世界の政治経済分野のリーダーの考え方・習慣、英語学習の秘訣、その他日々の学び・感動を書き記したいと思います。

なお、このブログに書かれたことはすべて個人的見解によるものです。

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