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春学期の授業を決めました

 この一週間は、UAEから帰国後の時差ボケと、急激な気温の変化の2つのせいか、腹痛を伴う風邪にやられてしまっていました。ようやく回復し、次の一週間は良い体調で過ごせそうです。体調が悪いと、授業にも集中できないし、勉強も全くはかどらないということを痛感した一週間でした。

 さて、今学期に履修する授業を決めました。4つの授業を正式に受講し、1つを聴講(Audit)する予定です。以前の記事にも書いたとおりですが、ショッピングデーに参加できない中で、教授の評判や、自分に新しい視点や物の考え方を教えてくれるという観点から、選びました。以下に概要を紹介します。

1.エネルギーの地政学(Geopolitics of Energy)
 教授は、メガン・オサリバン(Meghan O'Sullivan)教授という、僕が見る限り、ハーバードの中でもまさにトップクオリティのスーパーウーマンです。若干45歳ながら、ブッシュ大統領のイラク・アフガニスタン問題に関する特別補佐官を務めた他、現在はロムニー共和党議員の政策アドバイザーも務めています。授業もまだ二回受けただけですが、議論のさばきも上手で、かつ学生全員のバックグラウンドを知ろうと努力もしていて、人間的にも悪い評判は聞いたことがありません。しかも、元モデルだとの噂も聞きます。(真偽のほどは分かりません。)
 オサリバン教授は、エネルギーは、国家のパワーの手段(Means of National Power)としての側面と、外交政策の目的(End to Foreign Policy)としての側面の両方があるという考えを持っています。前者の例は、ロシアのウクライナへのガス輸出停止や、サウジアラビアの原油の禁輸措置などが挙げられます。後者の例は、アメリカの中東地域の活動や、中国の南シナ海での活動などが挙げられます。日本は、資源のほとんど取れない国なので、主に後者、外交政策の目的として、エネルギーを捉えていると思います。
 秋学期の「エネルギー政策」の授業では、各エネルギー源の特徴などを主に工学的な側面から学びましたが、今学期はエネルギーと政治・外交の関係について深く学べればと考えています。この授業を終える頃には、各国の外交や安全保障上の思惑が複雑に絡み合うエネルギーという領域の中で、日本がどのような針路を歩んでいくべきか、どの国と戦略的に協力関係を結んでいくべきかについて、自分なりの考えを持てるようになっていたいと思います。
Meghan O'Sullivan
メガン・オサリバン教授
※http://www.bushcenter.org/people/meghan-l-o%E2%80%99sullivanより引用

2.民主主義の理論(Democracy Theory)
 この授業は、歴代の日本人のケネディスクール卒業生の方々が高く評価している授業です。アリストテレスやホッブズ、ロック、ミルなどの原著を読んだり、イスラム思想などを学ぶことで、民主主義がなぜ政治システムとして優れているのか、人々を政治に関与させていくにはどのような仕組みが必要かといったことを学んでいきます。この授業を取ろうと思った理由は、ケネディスクールでは民主主義の考え方が、リーダーシップやスピーチ術、政策論、国際関係論など、あらゆる議論の基礎になっていると感じることが多いからです。僕自身は政治哲学のバックグラウンドは全くなく、アリストテレスなどの原著も読んだことはないのですが、これを機に、民意を反映した効果的な政治システムのあり方や、日本の政策決定に改善すべき点はないか、もう少し卑近な例でいえば、各メンバーの知見を最大限生かす組織・職場をどうやって作っていくかについて、自分の考えを持てるようになりたいと思います。
 教授は、ジェーン・マンスブリッジ(Jane Mansbridge)教授で、70歳を超える年齢ながら、非常に熱意を持って、学生の意見を引き出しながら、初学者にも分かりやすく、授業をしてくれます。以下に本授業の紹介ビデオがあるので、ご関心のある方は見てみると、授業の雰囲気や教授の熱意を感じることができると思います。


3.金融危機(Financial Crisis)
 教授は、IMFの勤務経験もあり、国際金融・マクロ経済の分野で非常に大きな発言力を持っているカーメン・ラインハート(Carmen Reinhart)教授です。「国家は破綻する‐金融危機の800年」という著作が、日本でも大きく話題になりました。金融危機はなぜ起こるのか、2008年の金融危機はこれまで歴史上起きた金融危機とどう違うのか、今後金融危機を防ぐにはどのような政策が必要なのか、といったことを学ぶ授業です。 学期中を通じて、数人あたり一つの国が割り当てられ、その国に関する財政事情や債務危機の可能性などについて深く追っていくことになります。恥ずかしながら僕はこの分野についてほとんど知識がないのですが、公的債務の極めて大きい日本にとっては、まさに自分事として考えなくてはいけない問題だと感じているので、この教授のもと、日本の財政政策への示唆を念頭に置きながら、勉強したいと思っています。
国家は破綻する――金融危機の800年国家は破綻する――金融危機の800年
(2011/03/03)
カーメン・M ラインハート、ケネス・S ロゴフ 他

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4.リーダーシップの行使(Exercising Leadership)
 ケネディスクールで最も有名なリーダーシップに関するコースです。教えているのは、ヒュー・オードーティ(Hugh O'Doherty)という先生で、北アイルランドの紛争解決などに携わっていた人です。全く同じ科目名の授業をリーダーシップ論で有名なハイフェッツ教授が秋学期に持っているのですが、ヒューは、このハイフェッツ教授の教え子です。ヒューも歴代の日本人の先輩たちから評判が高いですし、ビッディング(人気のある授業を受講するために、各自の持ち点を投資する制度)をする必要もないので、受講することにしました。
 大人数での授業に加え、学期中を通じて少人数グループが作られ、毎週集まり、各自のこれまでのリーダーシップの失敗談を発表し、それに対し、周りのメンバーが分析を加えるというエクササイズをやります。大人数の授業は相当変わっていて、教授は教室に来てから何のインストラクションも与えず、前に立ち尽くすだけで、後はほぼ全て学生同士のディスカッションに委ねられます。こうなることは先輩たちから聞いていたのですが、実際に直面すると、かなり戸惑ってしまいます。正直、この授業から何が得られるかはかなり未知数ですが、2015年の目標に関する記事にも書いたように、自分自身のこれまでの人生を振り返ったり、自分の行動パターンや内面を見つめなおすことで、日本人としての自分や僕自身の特質を生かしながら、今後周囲の人たちをどうやって引っ張っていくことができるのかについて指針を得たいと思っています。

【聴講科目】5.アメリカの経済政策(American Economic Policy)
 アメリカの財政政策、金融政策、為替の管理、社会保障、産業政策(自動車産業の救済)などを、毎回1時間、週に3回、講義形式で学んでいく授業です。はじめは、この授業を正式に受講しようと思っていたのですが、学生とのインタラクションがほとんどなく、大人数教室で講義を聴いているだけなので、あえて受講する必要はなく、聴講で足りると判断しました。僕は経済学部出身でもなく、きちんと体系的に経済政策について学んだことがなかったこと、また、上記3の「金融危機」の授業と補完的になること、月水金の朝10時~11時までなので、生活のリズムを作る上でちょうどいいと考えたことから、今学期、聴講することにしました。
 教授陣は皆一流で、元ハーバード大学学長・元財務長官のローレンス・サマーズ(Lawrence Summers)、クリントン大統領の経済政策に関する特別補佐官を務めたジェフリー・リーブマン(Jeffrey Liebman)、レーガン大統領の主席経済アドバイザーやオバマ大統領の経済再生諮問員会のメンバーを務めたマーティン・フェルドスタイン(Martin Feldstein)などです。アメリカの経済政策を形作ってきた教授陣から、アメリカのオーソドックスな経済に関する考え方を学びたいと思っています。
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Author:tak
2014年8月より、ハーバード大学ケネディスクール(Harvard Kennedy School, HKS)に2年間留学しています。

HKSでは、エネルギー・環境政策や経済政策、交渉術、リーダーシップなどを学ぶ予定です。このブログでは、HKSでは何をどう教えているか、世界の政治経済分野のリーダーの考え方・習慣、英語学習の秘訣、その他日々の学び・感動を書き記したいと思います。

なお、このブログに書かれたことはすべて個人的見解によるものです。

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